僕たちはパソコンなど触ったこともないと言う出店者と、秋葉原ヘパソコンを買いに行き、ISDNの申込書を書いて、パソコンをネットに接続し、キーボードの打ち方を教えた。サービスを提供するだけでなく、ノウハウも提供する。もっと言えば、楽天を“運命共同体”として選んでもらうのが、僕たちの基本方針だった。そういうことを通じて、僕たちは自分たちが誰のためにビジネスをしているのかを深く考えるようになっていった。そして楽天市場の存在意義を確信した。インターネットは情報格差を生むと言われているが、やり方によってはまったく正反対のことが可能だとはっきり確信できたのだ。僕は日本興業銀行を辞めるときひとつだけ心配だったのは、興銀に籍を置くことによって得られてきた貴重な情報源から切り離されてしまうことだった。けれど実際には、何も不都合はなかった。インターネットを通じて、世界中の生の情報を手に入れることができたからだ。楽天はインターネットの力を使って情報格差社会を破壊する。インターネットを利用すれば、地方に住んでいる人が、都会に住む人と同じビジネスチャンスを手にすることができる。広い店舗を持たない個人商店主も、全国規模で展開する大資本と同じ土俵で戦うことができる。
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