ナポリはもともと豊かな仕立文化を宿す地たった。吐界最初の仕立職人のギルドは1351年、ナポリにおいて結成されている。15世紀末になると、フランス出身の仕立職人が数多くナポリに修行にやって来る。また、ナポリの腕のいい収人たちがヨーロッパ各地の王たちに召し抱えられ、そこで素晴らしい仕立を艇回するようにもなった。そうした歴史的背景のなかでボンベイ熱やヴェスーヴィオ観光熱が高まり、さらにサルトリアーナポレターナ(ナポリ仕立)に影響をあたえていく。さらに19世紀から20世紀初頭にかけて、英国の上流附級者たちがナポリとその近郊のリゾート地を再発見し、サヴィルロウの仕立がナポリにもたらされることとなった。ヴァカンスでやって来た英国毀族たちは、サヴィルロウで仕立てた服を持ち込み、同様の服を仕立てるよう求めたのだ。ナポリで仕立てられたダブルブレストのスーツは、ワーキングウェアやスポーティーウェアとしてではなく、どこまでもエレガントな結晶であることが瞭然だ。そしてシングルブレストが言わば内に向かう服であるのに対して、ダブルブレストが外に向かおうとする服であることに気づかされる。外交の現場に生きる者にとって、ダブルブレストほど相応しいスタイルはないだろう。そうした点から見れば、ストロー英外相やパウエル米前国務長官がダブルブレストをまとったのは、当然のことであった。残念ながら、コリンーパウェル前国務長官のダブルブレストは、ナポリで仕立てられたものではなかった。また、国務長官の職を辞して以降、パウエルがダブルブレストのスーツを着ることはめっきり減った。それに呼応したわけでもないだろうが、シャッターストロー外相もシングルブレストが多くなっている。
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